今回は、通所介護の会社、株式会社ケアサービスを分析してみました。この会社は介護にとどまらず、訪問介護、入浴は勿論、葬儀用湯灌サービス、サービス付き高齢者向け住宅に注力しています。葬儀用湯灌サービスとは、他業界への進出でしょうか。
それではケアサービスを見ていきましょう。
企業力総合評価は、114.32→107.31→135.09→137.01→131.79と推移しています。2010年に企業力総合評価が27.78ポイント改善しました。下位の指標で、急改善したのは営業効率(儲かるか)、資本効率(資本の利用度)、安全性(長期資金繰)が牽引したと考えられます。長く右肩上がりの線分を見つければ良いのです。(赤い○)
営業効率は急改善しました。営業効率は、利益 / 売上高、つまり、売上に対しでいくら利益が残ったかを統合計算して、グラフにしています。
資本効率も、投下資本に対していくら儲けたかを示す指標です。
生産効率(人の利用度)4期連続の改善トレンドです。労働集約的な事業ですので、1人当り売上高は厳しいものがあります。
資産効率(資産の利用度)は、悪化トレンドです。投資をして資産が膨らんできているのでしょう。でもこの悪化は問題ありません。なぜなら、営業効率が改善しているから。投資が成功していると読めます。
流動性(短期資金繰)は、反転しながら、若干の悪化トレンドです。棚卸資産や売掛債権が少ない業種であることを勘案すれば、これをもって短期資金繰りが悪いとまでは言えません。また、変動が大きいことが、ジャスダックの会社である為、財務が不安定であることが考えられます。
安全性は変動が激しく、改善トレンドです。この指標は資産の変動と利益の変動の影響を受けます。
投資が活発で、それにより高い利益を獲得したわけですから、素直にそのままの動きと見てとれます。大きい順番で行けば、総資本増加率、売上増加率、従業員増加率です。
投資をして総資産が膨らみ、人を採用し、その甲斐あって売上が上がる。
経常利益増加率は、大きく変動しています。事業意欲があり、資産を買い、人を増やしていますので、変動も大きいのです。(経常利益増加率の変動が大きくグラフを切っています。)
介護サービス事業の2012年売上総利益率は14.35%、エンゼルケアサービス事業は、32.44%と2倍以上です。
このエンゼルケア事業は、冠婚葬祭業の互助会及び葬儀社と契約を結び、主に湯灌サービス、CDCサービスを提供するものです。
湯灌サービス
湯灌サービスとは、故人の葬儀においてお通夜の前に故人の洗体を行い、化粧をし、旅支度を整えるサービス。
御葬家の御自宅又は葬祭場に湯灌車と呼ばれる特殊車両でお伺いし、サービス。
CDCサービス
CDCサービスとは、Cosmetic(化粧)、Dressing(装束)、Coffin(納棺)の略称であり、主に故人のお化粧と旅路の身支度を整えるサービス。
本来、これは、葬儀事業者の事業領域ですが、介護事業を営むケアサービスが進出しています。考えてみれば、介護していたお年寄りがなくなり、故人を美しく送りたいと考えれば、体の悪い方のお風呂設備や、どうやって入浴をするかのノウハウもあるわけですから、葬儀事業者よりもやり易いのかもしれません。
まとめ
葬儀業であるから、葬儀会社をベンチマークしていても、ケアサービスの躍進は見落とします。周辺業界は勿論、異業種の動向にも、自社の進むべき方向を教えてくれる企業もあります。
また、互助会制度を除き、葬儀の生前の囲い込みは難しいと思っていましたが、エンゼルケアサービスは生前契約が多いように思いました。死に顔も美しくと望む女性は多い筈です。
SPLENDID21NEWS第90号【2013年5月15日発行】をA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。